研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第13号

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生業活動の組み合わせとコモンズの役割 : 徳之島におけるソテツ利用を焦点に

金城, 達也

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/54093
KEYWORDS : 生業活動;コモンズ;徳之島;ソテツ

Abstract

本稿は,地域社会における生業の組み合わせを明らかにしながら,地域社 会の生活戦略とコモンズの関係性を検討することを目的とする。まず,主要 な生業からマイナーサブシステンスまで,資源へのかかわりの濃淡に焦点を あてる。つぎに,それらが冗長性の確保やレジリエンスの向上にどう寄与し ているかを明らかにし,在地リスク管理におけるコモンズの役割を指摘した。 奄美群島に属する徳之島における人々は,多様な生業を組み合わせること で生活を営んできた。それぞれの生業は,資源の性質や所有形態,金銭的価 値などによって,生活戦略に対する重要度や貢献度が異なっている。特に徳 之島におけるソテツ(Cycas revoluta)資源は私的に利用されるのみならず, コモンズとしても利用されることで地域社会における生活戦略に厚みを持た せる役割を果たしてきた。 徳之島における生業複合を検討した結果,ソテツ資源の利用と所有のしく みが多様であることも,資源利用の冗長性を高め,生活戦略上の選択肢を増 やすことに寄与しているといえる。

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