經濟學研究 = The economic studies;第63巻第2号

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運輸部門におけるCDM・JCMプロジェクトの展開に向けた考察

近江, 貴治

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/54584
KEYWORDS : 運輸部門;CDM;JCM;方法論;追加性

Abstract

先進国から途上国に技術移転して温室効果ガス排出を削減する枠組みであるCDMでは,運輸部門のプロジェクトは少ない。これは,CDMが排出削減量を取引可能にする制度であることに由来する。各CDM方法論では,排出削減量のダブルカウントや漏出を排除するため,また,プロジェクトの追加性を確保するため,プロジェクト内容を厳しく規定している。一方で,初期の方法論にはルーズな内容のものもあり,発展しながら確立してきた制度とも言える。日本政府が提唱しているJCMは,途上国との二国間合意に基づいてプロジェクトを実施し,その削減量を日本に計上しようという仕組みである。これは,CDMでプロジェクトの拡がりが限定されてきている状況を踏まえ,より柔軟にプロジェクトを実施することを目論んでいるが,国際的に認めてもらうにはCDMと似通った制度に収斂する可能性もある。途上国側は,温室効果ガス削減だけでなく様々なコベネフィット(副次効果)の創出も運輸部門のプロジェクトには期待している。特に自動車は多数の移動排出源であるため,自動車の所有者・使用者が参加しやすい仕組みが求められる。

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