北海道歯学雑誌;第34巻 第2号

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各種根管洗浄法の洗浄効果と水酸化カルシウム製剤による水酸化物イオンの拡散

豊田, 有希;吉原, 俊博;八若, 保孝

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/55157
KEYWORDS : 根管洗浄;スミヤー層;水酸化カルシウム製剤;水酸化物イオンの拡散;外部吸収

Abstract

臨床において,歯根の外部吸収の治療には,根管清掃および水酸化カルシウム製剤による根管貼薬が行われている.本研究は,各種根管洗浄法のスミヤー層除去効果と水酸化物イオンの拡散に与える影響を明らかにすることを目的とした.  本実験には,抜去ヒト永久歯およびヒト乳歯の歯根部分を使用した.根管形成後,洗浄法により群分け(永久歯:G1,G2,G3,G4,G5,乳歯:G1,G2,G2-30,G2-15,G5,G5-30,G5-15)を行った.洗浄法は,G1:交互洗浄(5%NaOCl,31%H2O2),G2,G2-30,G2-15:5%NaOCl超音波洗浄,G3:5%EDTA超音波洗浄,G4:5%NaOCl超音波洗浄→5%EDTA超音波洗浄,G5,G5-30,G5-15:5%EDTA超音波洗浄→5%NaOCl超音波洗浄とした.超音波洗浄は,洗浄剤を根管内にみたし,超音波スケーラー(Osada ENAC 10W)を用いて行い,作用時間はG2,G3,G4,G5が45秒,G2-30,G5-30が30秒,G2-15,G5-15が15秒とし,各群とも最後に交互洗浄を行った.実験1(根管内壁の観察)として,走査型電子顕微鏡(SEM:HITACHI S-4000)にて根管内壁を観察し,得られた電子顕微鏡写真から象牙細管開口率を算出した.実験2(歯根周囲のpH変化)として,試料の歯根外表面に人工的に吸収窩を付与し,根管内に水酸化カルシウム製剤を貼薬した後に,1,2,3,4週後の吸収窩周囲のpH変化をスコア化した.実験1,2から得られたデータについて統計処理を行った.  その結果,永久歯ではEDTA単独あるいはNaOClと併用して超音波洗浄を行う方法が,乳歯ではNaOCl単独で超音波洗浄を行う方法がスミヤー層を効果的に除去し,なおかつ水酸化物イオンの拡散を促進させることが示唆された.

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