北海道歯学雑誌;第34巻 第2号

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4-META/MMA-TBBレジンの硬化条件が レジン表面への骨形成に及ぼす影響

洲崎, 真希;菅谷, 勉;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/55158
KEYWORDS : 4-META/MMA-TBBレジン;硬化条件;生体親和性;骨-レジン接触

Abstract

4-META/MMA-TBBレジン(スーパーボンド)は歯質や骨への接着性だけでなく,生体親和性に優れ,硬化したレジンに増殖した新生骨が直接接することが報告されている.一方,生体親和性は硬化条件によって異なることが報告されている.そこで本研究では,硬化条件を変えたスーパーボンドを骨髄腔内に埋植し,レジン表面への骨形成に及ぼす影響を評価した.  スーパーボンドを空気遮断条件下で硬化させ,直径1mm,長さ5mmの円柱形試料を作製し,10週齢ラットの大腿骨を穿孔,次の3条件で埋植を行った.骨髄液中硬化群:試料表面にスーパーボンドを塗布し,直ちに埋植.空気中硬化群:試料表面にスーパーボンドを塗布し,24時間空気中で硬化後に埋植.空気遮断硬化群:試料をそのまま埋植.術後2,8週で脱灰薄切標本を作製してH-E染色し,光学顕微鏡下で骨形成率,骨接触率などを計測した.次に,硬化条件による表面性状の違いを調べるため,スーパーボンドを空気遮断条件下で硬化させ1×5×5mmの試料を作製した.ラットの大腿骨から骨髄液を採取し,上記と同じ3つの条件下で10分間骨髄液に浸漬した.その後20分間超音波洗浄し,SEM観察とFT-IR分析を行った.  光顕では,2週後に3群とも軟組織を介して新生骨がほぼ試料全周を取り囲み,8週後には3群とも試料と骨は近接していた.試料と骨の接触率は,2週後は3群とも低く3群間に有意差はなかった.8週後は骨髄液中硬化群が15.4%で最も高く,他の2群に比較して有意差が認められた.SEM観察では骨髄液中硬化群の試料表面に厚さ2~3μmの粗造な層がみられ,FT-IR分析でアミド特性吸収帯のバンドがみられたことから,この層は試料表面に付着したタンパク質を含む骨髄液成分と考えられた.  以上より,4-META/MMA-TBBレジンを骨髄液中で硬化させると,レジン表面にタンパク質を含む骨髄液成分が付着し,骨との接触率が向上する可能性が考えられた

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