北海道歯学雑誌;第34巻 第2号

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レジン系シーラーの種類と根充方法が根尖封鎖性に及ぼす影響

中澤, 篤史;菅谷, 勉;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/55160
KEYWORDS : 充填方法と乾燥方法;接着性根充シーラー;根尖封鎖性

Abstract

根尖孔が大きく開大し偏平な根管の場合は,接着性レジンシーラーの使用が有効とされているが,シーラーが極端に厚くなる部位が生じ,気泡の混入や硬化時の寸法変化,乾燥が不十分な部位が生じ,封鎖性が低下する危険性がある.そこで,接着性レジンシーラーのみで根管充填を行い,根管の乾燥方法や充填方法,シーラーの種類が,封鎖性や根管の充足性に及ぼす影響を検討した.  実験1では,レジンが接着しないテフロンチューブに根充シーラーを充填し,硬化後にチューブ内面積と根充シーラーの面積を測定して,硬化に伴う空隙の発生状態をスーパーボンド根充シーラー(SBS),スーパーボンド混和ラジオペーク(SBR),リアルシールSEシーラー(RS)の3種類を用いて評価した.硬化後0.5mm間隔で切断し,充足率,チューブに接した空隙率,根充材内部の空隙率を算出した結果,SBSはRSに比較して,チューブに接した空隙率と根管充填材内部の空隙率が有意に大きかった.  実験2では,抜去歯を用いて根管の乾燥方法,根管充填方法,シーラーの種類で根管封鎖性と充足性を比較した.根管乾燥はエアードライとペーパーポイントによる乾燥,根管充填方法はシリンジを用いた充填とさらにガッタパーチャポイントを用いたポンピングを併用する方法とし,色素侵入距離,色素侵入率,充足率を測定した.その結果,SBSとSBRでは根管乾燥方法や充填方法に関わらず,色素侵入距離は0.5mm以下,色素侵入率は1%程度で有意差はなかったが,リアルシールは色素侵入距離が1.3mm,色素侵入量率が75%で,SBSとSBRに比べて有意に大きかった.SEM観察では,レジンタグの形成はエアードライしてSBRを充填した群が最も確実であった.  以上の結果から,根尖孔が開大し加圧が十分に行えず,さらに根管が偏平でシーラーが厚くなる場合には,根管をエアードライしてシリンジでスーパーボンド混和ラジオペークを充填する方法が,最も高く安定した封鎖性が得られると考えられた.

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