北海道歯学雑誌 = Hokkaido Journal of Dental Science;第34巻 第2号

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三次元立体培養ヒト歯根膜線維芽細胞を用いた最適矯正力に関する検討

羽二生, 芽里;金, 荘律;佐藤, 嘉明;飯田, 順一郎

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/55161
KEYWORDS : 三次元立体培養ヒト歯根膜線維芽細胞;メカニカルストレス;サイトカイン

Abstract

矯正力による歯の移動機構で圧迫側における破骨細胞分化は,歯根膜線維芽細胞が分泌するサイトカインにより制御されると考えられており,今までの実験では,直接細胞に機械的刺激を加えた報告が多かった.そこで,本研究ではin vivoに近い歯根膜を想定し,三次元立体培養ヒト歯根膜線維芽細胞を作製して機械的圧縮を加え,産生される破骨細胞分化関連サイトカイン遺伝子発現量の変化と圧縮量の関係を明らかにすることを目的とした.  矯正治療時便宜抜去された歯からヒト歯根膜線維芽細胞を培養し,5継代目の培養細胞をφ5×3mmのコラーゲンスポンジに充填し1週間培養後,コラーゲンスポンジを1/3,1/4圧縮した.0(コントロール),1,3,6,12,24時間後にサイトカイン遺伝子発現量の変化をReal time PCRにて検索した.1/3,1/4圧縮時の細胞の充填状態は,コントロールと比べ同程度であった.破骨細胞分化関連サイトカインであるTNF-α,FGF2,IL-1β,VEGFのmRNA発現は,1/3,1/4圧縮すべての時点でコントロールより有意に増加し,OPGのmRNA発現量は,1/3圧縮24時間後の条件以外有意に減少していた.1/3圧縮24時間後のOPGのmRNA発現量は,コントロールと同程度であった.また,総じて,mRNA発現の相対量は1/3圧縮時と1/4圧縮時の間で発現傾向は類似していたが,1/4圧縮時の方が多い傾向であった.これらの結果からin vivoに近い実験系でヒト歯根膜線維芽細胞に機械的圧縮を加えたところ,細胞がサイトカインを産生し,骨リモデリングの一端を担っている可能性が示唆された.また,矯正治療において歯根膜幅の1/4の移動を行って歯を移動させることが効率的であると考えられる.

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