經濟學研究 = The economic studies;第64巻第2号

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統合報告に対する保証とその課題

岡野, 泰樹

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/57554
KEYWORDS : 統合報告;保証;監査;非財務情報;財務諸表外情報

Abstract

統合報告は,資本市場における企業価値の中・長期的な観点からの評価の重視を背景に,これまで個々に独立して開示されてきた財務情報と非財務情報を,その重要性や目的適合性に合わせて,一体的に開示することを指向するものである。統合報告では,財務情報の中心となる財務諸表が,制度上,監査によってその信頼性の確保が図られている一方,非財務情報に対しては,その信頼性を保証する一般的な枠組みが整備されていない。開示情報は,一定の保証があってこそ,信頼性が確保され有用なものとして利用者に受け入れられるとの観点からすれば,今後,非財務情報に対しても,何らかの保証が求められてくることは想像に難くない。本稿ではこのような認識をもとに,まず,非財務情報の開示と保証に関する国際動向を概観し,その形態が一様ではないことを示す。次に,現在までに非財務情報に対して議論されてきた保証を概観する。ここでは英米で議論された保証モデルと,近年,監査論研究者によって提示された統合報告に対する保証モデルを取りあげる。最後に,統合報告の保証を実施している海外企業の事例を取りあげ,その保証報告書を検討し,統合報告に対する保証とその課題を示したい。

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