低温科学 = Low Temperature Science;第73巻

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北方針葉樹林におけるトウヒ属Piceaとモミ属Abiesの稚樹の動態に及ぼす林床環境の影響

西村, 尚之;赤路, 康朗;鈴木, 智之;長谷川, 成明;小野, 清美;隅田, 明洋;原, 登志彦;飯田, 滋生;関, 剛;倉本, 惠生;杉田, 久志;中川, 弥智子;松下, 通也;廣部, 宗;星野, 大介;稲永, 路子;山本, 進一

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/59060
JaLCDOI : 10.14943/lowtemsci.73.7

Abstract

北方針葉樹林における樹種共存機構を理解するために,本研究では稚樹段階における林床生育環境に対する生態的応答の種間差について検討した.エゾマツ,アカエゾマツ,トドマツの共存する北海道東大雪にある原生状態の常緑針葉樹林に設置した100m×100mの調査区内において,樹高が50 cm以上かつ200cm以下の稚樹個体を対象に2008年と2013年に毎木調査を行い,2012年に林内441か所で全天写真を撮影し,個体群動態や成長速度と林床環境との関係を解析した.どの樹種も稚樹の生残や成長にマイクロサイトの影響は小さく,散乱光または直達光の入射割合の影響が大きかった.エゾマツとトドマツの生残や成長は散乱光の入射割合に,アカエゾマツでは直達光の入射割合に強く影響されており,北方針葉樹林の樹種共存には稚樹期の光環境の違いが重要であることが結論された.

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