科学技術コミュニケーション = Japanese Journal of Science Communication;18号

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子どもたちの視点から考えるサイエンスカフェと小学校理科との連携の可能性 : 親子を対象とした「コドモ to サイエンスカフェ」を事例に

坂倉, 真衣

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/60391
JaLCDOI : 10.14943/71587
KEYWORDS : science café;primary school;science education;cooperation;サイエンスカフェ;小学校;理科教育;連携

Abstract

近年,科学コミュニケーション活動は広がりを見せ,学齢期の子どもたちが学校外で科学に触れる機会も益々充実し豊富になってきている.彼らが科学を学ぶ中心的な機会である小学校の理科教育現場においても「科学コミュニケーション」の視点を取り入れた取組み等がなされ,科学コミュニケーション活動と理科教育との連携も摸索されている.本稿では,親子を対象とした「コドモtoサイエンスカフェ」を事例とし,参加者へのアンケート,サイエンスカフェ内で出された子どもたちからの質問をもとに,子どもたちの視点からサイエンスカフェと小学校理科との連携の可能性およびその配慮すべき点について考察を行った.その結果,参加者のうち約半数の子どもがコドモtoサイエンスカフェと小学校理科との共通性を感じていることが分かった.また共通性を感じない理由は,サイエンスカフェ,小学校理科で扱われる内容の深さが異なることによるものであった.さらに,子どもたちから出される質問は,学校で習った知識の背景にある理由を尋ねるものや,テレビや図鑑で見たり聞いたりしたことのあるものについて尋ねたものなど,サイエンスカフェ,小学校理科両者の内容を横断するものであった.これらの結果をもとに,サイエンスカフェと小学校理科との連携にとって重要だと考えられるポイントを,「サイエンスカフェの主催者,小学校理科の教員が互いの存在を意識して子どもたちの疑問に対する回答を行うこと」「子どもが両者の特性を理解して能動的に学べるようにすること」であると示した.

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