研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第15号

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広告における非述定文に関する一考察 : 統語語用論の観点から

呂, 晶

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/60554
JaLCDOI : 10.14943/rjgsl.15.l161
KEYWORDS : 広告表現;非述定文;統語語用論;伝達効果;発話機能

Abstract

私たちが暮らす社会には,あらゆる場所に,あらゆる姿をした広告が存在 している。広告を目にせずに,一日が過ぎるということは,まずないと言っ ても過言ではないであろう。そして,私たちは生まれたときから,大量の広 告に囲まれてきており,誰もが広告を水や空気のような「存在して当たり前 のもの」と受け止めていると見ることができるように思われる。また,広告 は多種多様な媒体によって伝達されているが,本稿は,印刷媒体を使った広 告を中心に扱い,それらの広告におけるキャッチコピーを考察の対象にする。 なお,キャッチコピーの形式に注目すると,中には平叙文,疑問文,命令 文などのような文の体裁をなすものもあれば,「羊の数だけ感動があるニュー ジーランド」のような文の体裁をなさない広告表現もある。本稿では,後者 のような広告表現を非述定文と呼び,統語論と語用論の観点からこの種の広 告表現について考察する。考察の結果,広告における非述定文には,名詞か らなるものと感動詞からなるものの二種類があることがわかった。そして, 用例のほとんどは,前者の名詞からなる非述定文であることもわかった。広 告における名詞からなる非述定文は,普通の非述定文と比べて,その構造が 複雑となっており,連体修飾構造を持ったものが多い。また,広告における非述定文の発話機能に間していうと,名詞からなる非述定文は《感情表出》と《情報提示》を表すことができ,感動詞からなる非述定文の発話機能は《感情表出》であると考えられる。

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