北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第124号 : 室橋春光先生退職記念特集

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「学習障害」概念の再検討

室橋, 春光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/60998
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.124.13
KEYWORDS : 発達障害;大細胞系機能;文脈促進機構;学習メカニズム;中間表現型

Abstract

「学習障害」は,生物学的基盤をもち社会的要因を強く反映する,学習に関する包括的用語とみることができる。学習とは,適応の齟齬を修正し,自らの活動の仕組みを変容するあり方(狩野,1967)である。生物学的基盤として,様相の異なる知覚処理を縮約し統合することに関する,出現頻度のより低い脳内ネットワークの存在があると想定し得る。恐らく大細胞系機能の関わる背側系経路の機能的脆弱性があり,文脈促進のありかたには非平均的処理が具わる。「障害」の基準は,社会的「平均」からの逸脱の度合により規定されるが,時代と文化の影響を強く受けて「障害」的表現型をもつ。「学習障害」に関連する中間表現型が,「強み」の表現型となるような教育が求められる。

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