經濟學研究 = The economic studies;第66巻第2号

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移転価格税制適用企業の企業統治構造に関する実証研究

櫻田, 譲;大沼, 宏

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/64223

Abstract

本研究は移転価格税制(TPTS)の適用を受けた企業の株価が下落する現象を与件としながら、下落する株価の多寡はコーポレート・ガバナンス(CG)の巧拙や財務構成の違いに影響を受けるとの仮説を検証している。TPTSの適用は一種の企業不祥事であり、情報の非対称性の高い租税関連事象であるため、投資家は企業価値の毀損を覚悟するものの、投資家の抱く不安が何によって大きくなり、又逆に和らげられるのかについて本研究では関心があり、解明を試みている。分析の結果としてTPTSが適用された直後は社外取締役を採用した企業ほど失望が大きい反面、外国人持株比率が高い場合や無形資産の保有が高い場合には投資家の不安が抑えられている。またTPTS適用日を挟んで数日間の投資家の反応を観てみると、webによる情報公開に積極的である場合や当座比率が高い場合に投資家の不安が高まることが明らかとなった。これらのことからTPTSのみならず、その他の企業不祥事においてもCGや財務構成によって投資家による企業評価が左右されているのではないかと考えられる。

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