北海道大学演習林試験年報;第1号

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ササ試験地の林木更新と土壌

氏家, 雅男

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72627

Abstract

北海道の北西部の標高およそ400m 以上の森林は,大型のチシマザサ(ネマガリダケ, Sasa kurilensis)に覆われ,しばしば無立木地を呈している。このようなところは,樹木の種子が落下しても厚い落葉層のため士層に到達せず,またたとえそこへ着床,発芽しても,多くはササの被圧や土壌微生物のために枯死し,林木は更新されない。それ故,最近天然更新補助作業の一環として,ネマガリダケを除去するとともに,その地下茎を切断し土壌を露出させる,いわゆる掻起し処理が大規模に施行されている。北海道大学雨竜地方演習林では,それらに先がけて,昭和43年以来,ササ密生地にかき起し試険を実行し,その後の更新状況を継続調査している。本研究は,ネマガリダケ伐採跡地に,Ao, A層除去を含む種々の地表処理を行った試験地を対象に,昭和57年,森林土壌学実習の中でその調査を実施したものである。すなわち地表処理の違いが樹木の侵入,生育状況,植物現存量に及ぼす影響,あるいは Ao, A層の回復の状態さらに処理後の土壌の理化学的性質の変化を追究した。この調査を行うに当り,本学林学科,矢島教官,同名寄林木育種試験場,船越教官はじめ多くの人の援助を戴いた。ここに深く感謝の意を表する。

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