北海道大学演習林試験年報;第2号

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昭和59年の春先に見られた針葉樹幼齢木の気象害について : 地形と低気温

田中, 夕美子;石井, 正

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72643

Abstract

本年の冬から春にかけて、針葉樹の幼令木に気象害による被害が多く発生した。 被害のあった場所の地形を見ると、一般的に知られている谷底の他に、一部に斜面や台地の上も含まれていた(図1)。 被害の状況は表-1のとおりである。林内観測露場で得られた気温の過去7年開の記録によると、本年冬期の最低気温は-25℃で前年以前のそれと比較してそれほど特異な極値ではない。また、本年5月の気温は例年とほぼ同程度であった。しかし、前年10月の平均気温および最低気温は過去7年間の記録と比較して最も低い値であった。一般に気象害と言われる場合の、気象要素と被害との因果関係には不明の点が多いが、いずれかの時期の強い冷却が関係しているものと堆定される。 林地の微気象と地形の関係について、今田 (1948 ; 1962)、今田・武藤 (1958) は谷底、台地および斜面の最低気温の観測を行ない、トドマツの凍死の限界温度は-4℃であると報告している。 以上のことから、地形が冷却の過程に影響するものと考えられるので、冬期の地形による冷却分布と冷却過程を調査した結果を報告する。

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