北海道大学演習林試験年報;第2号

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トドマツ造林地成績調査について

竹田, 哲二

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72640

Abstract

雨竜地方演習林における人工造林地は、大正3年に添牛内事業区において、カラマツ及びヨーロッパトウヒを植栽したのが始まりで、表-1に示すように、以後断続的に小面積で実行され、昭和40年度までにカラマツ80ha、ヨーロッパトウヒ200ha、トドマツ157ha、アカエゾマツ4ha、広葉樹1ha、累計面積442haに達した。しかし昭和40年度から43年度にかけ、当時の人工造林地累計面積の76%にあたる340haが、不成績により台帳から削除されている。こうした大量の人工造林地を台帳より削除するに至った原因については、今後、過去の成績調査などを分析して総括する必要があるが、過去の成績調査報告によると、野兎鼠害と共に乾燥(旱バツ)害、霜害、雪害のほか雑草による被圧、あるいはヨーロッパトウヒでは、植栽当初から一貫して生育不良が指摘されている。こうしてみると野兎鼠害、乾燥害・霜害・雪害などの厳しい気象条件ばかりでなく、樹種選択の誤り、手入不足なとも大きな原因と思われる。 又、戦後中断された人工造林も、昭和31年度より本格化し始め、樹種もカラマツ、ヨーロッパトウヒ等にかわり、トドマツ主体の造林が始められた。表-1にみるように、名寄林木育種試験場が設立された昭和40年代に入ってアカエゾマツの人工造林が始められ、昭和50年代に入ってからは、アカエゾマツの人工造林面積は過半数を越えるに至っている。 当林における人工造林地現有面積は、昭和59年4月1日現在731haにおよび、樹種別面積比率では、トドマツ68%・アカエゾマツ29%、戦前期及び昭和30年代初頭の主要な造林樹種であったカラマツ・ヨーロッパトウヒは僅か2%、その他針広葉樹1%となっている。今回は当林の、全人工造林面積の68%を占るトドマツ人工造林地の成績調査及び現状の取扱いと、今後の造林方法なとについて報告する。

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