北海道大学演習林試験年報;第7号

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埋土種子から見たかき起こし作業

林田, 光祐

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72845

Abstract

大型機械によるかき起こし作業は天然更新補助作業として北海道の森林造成に大きな成果をあげつつある。北大演習林でも早くから導入され、最近では天然下種更新だけでなく、人工下種や植栽の地拵えとしても行われており、育林作業の柱となっている。しかし、これまでに成立したかき起こし地のほとんどはカンバ林で占められていることから、カンバ類だけでなく多様な樹種からなる森林の造成技術が望まれている。 地表をかき起こしした後の更新はほとんど種子からの更新であることから、かき起こし跡地への種子の供給がその後の更新を左右する。この場合の種子の供給は、かき起こし後に散布される種子はもちろんであるが、もともと林床に存在していた種子もある。この落葉層や土壌中に含まれる種子を埋土種子という。何年も土壌中で休眠して生き続け、発芽に適した条件になると一斉に発生する種も多い。かき起こし直後に数多くの実生が見られるキハダはこのタイプの代表種と言えよう。埋土種子がかき起こし前にどのくらいあり、それがかき起こしによってどの様に変化するのか?その後種子がとのように散布されるのか?これらが明らかにされれば、かき起こしの技術を大きく飛躍させることも可能であると考えられる。残念ながら北海道では埋土種子の研究はほとんど行われていない。そこで、わずか1年間の調査ではあるが、1988年から始めた雨竜演習林での調査結果を簡単に紹介する。

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