北海道大学演習林試験年報;第7号

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森林管理計画と年輪情報について

藤原, 滉一郎

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72839

Abstract

1989年度は、長年の懸案であった中川地方演習林の琴乎試験地の再測を、夏目・中野・杉山氏等の協力で行った。個人としては、この調査が最後になるので、これもデータ処理室でデータの整理をお願いしているところで、前年のトドマツ植栽木の形態変化・成長データも含めて、宿題がたまり溜息をついているところである。これらは、なるべく早く報告するつもりであるが、ここでは年輪情報のことについてふれる。 1989年度の特定研究経費に「樹木年輪情報の収集方法と解析法に関する研究」を小生が代表者として申請し、採択になった。今年の経費では、ピアスの画像解析装置を購入し、実際的なことは雨竜地方演習林(主として林田氏)にお願いし、長期的な体制をと考えている。 年輪情報に関する個人的関心は、生物の成長と環境の関係であり、細分すると地すべり・噴火などの地表変動、強風・霜などの気象条件、あるいは過去の気候変動、近年の環境汚染などの記録計としての樹木年輪である。年輪情報は、年輪幅やアテ・変色なとの肉眼的情報だけでなく、X 線画像解析・微量分析の溝入とその解析手順へのコンピューターの利用により、年輪幅→早晩材比率→比重→成分構成と情報量もその解析法も急速に進展している。この他に、入皮・色調なと面的な情報もあり、また一部の樹種については細胞形成の時期の特定も可能になるなど、非常に多くの情報をとりだすことができるようになった。ここでは、個人的関心事から離れて、大げさではあるが、森林管理との関連を述べてみる。

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