北海道大学演習林試験年報;第7号

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林内河川の位置づけについての一提案

中野, 繁

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72822

Abstract

今、大学演習林の在り方についての再認識、検討が求められている。北大演習林は、今後における一つの指針として、自らを森林科学ひいては陸地科学全般の研究フィールドとして位置づけて行こうとしている。確かに、約7万haにも及ぶ森林は現在、また将来にわたって自然及び社会科学諸分野のフィールドとして高い可能性を秘めているであろう。今日までにも、いわゆる林学以外の分野の研究が数多く行われてきたという実績もある。しかしながら、北大演習林をフィールドとした場合、どの様な分野の如何なる材料を扱った科学が展開して行けるのかといったことが、科学におけるスケール論や演習林の場としての現況を踏まえた上で論議されたことは意外に少なかったように思われる。むろん、ある地域のフィールドとしての可能性を見いだすこと自体が科学研究のテーマの一つであり、その全てを議論の中で整理することはできない。しかし、いまその可能性を認識しさらにその維持、保全に努めなければ、本来演習林が持っていたはずのフィールトとしての機能自体が失われてしまうような研究分野も多々あるはずである。今回は、演習林の河川を、水生生物、特に魚類の生態を研究するフィールドとして捉えた場合の可能性を治山及び砂防ダムの在り方について、中川地方演習林を例に考えてみたい。

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