北海道大学演習林試験年報 - 第8号

治山工事と渓流の生物群集の保護 : 中川地方演習林の加藤の沢における魚類の生息状況と治山ダム

中野, 繁;奥山, 悟;夏目, 俊二;長山, 裕治

Permalink :  http://hdl.handle.net/2115/72873

Abstract

治山事業は土木的工法、造林的工法および両者の組合せによって行われるが、近年の土木技術の発達や経済構造の変化にともない治山事業における土木的工法の割合が非常に高くなりつつある。特に、渓流工事においてはこの傾向が著しく、治山事業の内容は築堤やダムの建設が中心となっている(高橋、1985)。しかし、この様な治山事業の結果、事業の対象となった渓流の多くは、本来持つべき多様な生物の生息場所としての機能を失い、自然保護や生物資源の保護、育成といった観点から現在の治山事業のあり方の見直しが求められている。 中川地方演習林と上川支庁治山係では、林内河川の位置づけと治山事業のあり方について考えるための基礎資料の作成と議論を行ってきたが、1990年筬島地区を流れる加藤の沢において渓流の生物群集の生息環境保全を考慮した治山ダムが道によって施工された。今回は、この事業に先だって行われた加藤の沢における魚類の生息状況に関する調査の結果と建設された治山ダムおよび付帯事業の概要、さらに今後における調査の方針等について述べる。


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