北海道大学演習林試験年報;第9号

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しもざらめ雪の急速発達

福沢, 卓也;秋田谷, 英次

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/72894

Abstract

多くの雪崩は、弱層と呼ばれる剪断強度の小さい層を滑り層として発生する。しもざらめ雪は古くから典型的な弱層として知られている。従来、しもざらめ雪は、積雪中で0.1-0.2℃/cm程度の温度勾配のもとで3週間以上かけてゆっくりと形成されると考えられていた。これは、しもざらめが積雪中の深い部分で観察されるという事実に基づく考察であった。これに対して積雪表面付近では、雪温分布は気象変化にともない大きく摂動しており、しもざらめ雪は大きな温度勾配のもとで急速に発達することが考えられる。そこで今回、表面付近の雪温測定を行なうとともに、表層の雪粒の接写を行ったところ、大きな温度勾配(2℃/cm)のもと一夜のうちにしもざらめ雪が急速に発達することがわかった。(本来、成長速度を考えるとき水蒸気圧勾配を考えなければならないが、ここでは簡単のために温度勾配についてのみ考えてみる。)

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