北海道大学演習林試験年報;第11号

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高収率パルプの改質に関する研究

小島, 康夫

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73180

Abstract

紙の原料となるパルプはその製法により機械パルプと化学パルプに大別される。機械パルプは木材を物理的に粉砕して繊維化したもので、木材の90%以上を利用している。多様な薬品を用いて製造される化学パルプに比べてその製造コストが低いこと、繊維形態が複雑なために不透明度が高いことが大きな特徴である。主な用途は新聞紙や週刊誌などである。機械パルプはさらに粉砕方法によりGP、RGPそれにTMPの3種に分類される。TMPは高温高圧下で木材チップを粉砕して製造され、原木からのチップの他、製材工場からの廃材なども利用される。またGP、RGPに比べて高い強度のパルプが得られることが特徴である。 近年の森林資源の状況は、パルプ工業、特に機械パルプの製造に対して大きな影響を及ぼしている。すなわち、従来の機械パルプの主原料であったスプルースやファー等が不足してきており、これまで機械パルプには不適当と思われてきた、シダーやレッドパイン、さらにナラやユーカリなどの広莱樹もその原料として取り扱わなけれはならなくなってきたからである。この問題を克服するためにいくつかの技術開発が行われてある程度対応してきたが、資源問題に加えて最近の新聞紙の軽量化の要求が高まるに至って、機械パルプ化法に対して抜本的な見直しが迫られてきている。これまでよりも低質な原料からこれまで以上の高品質なパルプを製造しなければならないというこの背反した要求は、新たなパルプ製造法の開発が不可欠である。本研究はこうした状況を背景に、新たな新聞紙原料製造法としてCTMP-03法を開発し、その特徴を検討したものである。

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