北海道大学演習林試験年報;第11号

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融雪期における山地小河川の水質

佐藤, 冬樹;笹, 賀一郎;芦谷, 大太郎

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73173

Abstract

世界的な大気汚染の進行にともなう酸性雨や酸性雪の降下は、「森林と水」に対する関心を高め、そのため水質維持に対する森林の効果についての具体的研究の必要性が増している。わが国の森林の多くは雪による降水量の多い山地地城にあり、流域の河川水質は水の給源である降雪の化学性と関連性を持っている。特に、融雪による増水は長期にわたり継続するため、雪質の汚染による河川水質の悪化は、流域生態系や下流域における人間活動に重大な影響を与える可能性は高い。この問題は北アメリカや北ヨーロッパにおいて酸性融雪水による河川や湖沼の生態系破壊としてすでに顕在化している。 このような酸性融雪水による流域への影響は、酸性雪の降下しているわが国の山地流城においても、長期的スケールてみた場合十分に起こり得ると考えられ、融雪期の河川水質に関するデータの蓄積が必要な状況となっている。 著者らの所属する天塩地方演習林では、積雪寒冷地帯の山地流域における森林の水資源に対する諸機能を検討するための観測を、経営試験の一環としておこなっており、そのいくつかは試験年報でも紹介してきた。今回は、これまでほとんど明らかにされていない、酸性積雪の融解にともなう流域小河川の水質変動の実態についての調査結果について述べる。

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