北方森林保全技術 = Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests;第20号

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北海道の蛾類相 : 苫小牧研究林の標本データベース

村上, 正志

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73292

Abstract

標本データベースとは、ある地域に生息する生物の標本と、それに付随する分類学的、生態的情報を組み合わせたものである。このようなデータベースを構築することにより、未来世代に生物情報を体系的に残すことができるとともに、研究林で行われる様々な研究の基礎となるほか、近年注目を集めている地球規模での生物多様性の比較研究に提供しうるデータとなる。苫小牧研究林では、吉田により(吉田1976、Yoshida 1981、1983、1987参照)蛾類標本の収集が行われてきた。その後、1997年より、新プロ「地球環境撹乱下における生物多様性保全及び生命情報の維持管理に関する総合的基礎研究」の下で、苫小牧研究林内の生物インベントリーを開始したが、これまで蓄積された情報を尊重し、まず鱗翅目、特に蛾類から標本の収蔵を始めることとした。また、当研究林では2001年のIBOY国際生物多様性観測年にさいし、コアサイトとして様々な生物のモニタリングを行い、脊椎動物、植物を含む生物インベントリーを行っているが(Nakashizuka 2001)、本稿では蛾類の標本収蔵状況についてのみ報告する。苫小牧研究林の蛾類データベースの構築にあたっては、北海道内の多くの研究者や、アマチュアの蛾類収集家の協力をいただいた。苫小牧市博物館の吉田国吉氏、札幌市の小木広行氏、標茶町の飯島一雄氏、大野町の亀田満氏には貴重な標本を寄贈いただいた。また、2002年4月に急逝された函館市の猪子龍夫氏にも数多くの標本を生前寄贈いただいた。その後、生涯をかけて収集された膨大な標本を猪子和子氏の厚意により寄贈いただくこととなった。この標本については本稿の発表には整理が間に合わず、リストには含まれていない。

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