北方森林保全技術 = Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests;第22号

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天塩川流域における環境変化と水棲生物群集の関係 : 森から海への研究を目指して

柴田, 英昭;青栁, 陽子;石川, 尚子;小宮, 圭示;杉下, 義幸;佐藤, 冬樹;池上, 佳志;笹, 賀一郎;上田, 宏;傳法, 隆

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73144

Abstract

地球生態系における生物生産と環境保全を両立させるための研究教育を行うためには、既存の学問分野の境界を乗り越えた横断的かつ総合的な視点に立った取り組みが必要である。人間が生活している陸上生態系では、過去から現在にかけてさまざまな土地や資源を利用するとともに、食糧を多量に生産することで、その生活空間を量的にも質的にも拡大してきた。その結果として、自然生態系の劣化や環境汚染の問題が懸念されるようにもなってきた。北海道大学北方生物圏フィールド科学センターは、森林、耕地、陸水および沿岸域を対象としている研究者および技術者を中心とした集団であり、多様な自然・人工生態系における環境保全と生物生産の両立を図るための研究を推進し得る組織として2001年度に発足した。これまでの個別の生態系で行われてきた研究を単に統合するだけではなく、陸上生態系から沿岸生態系までの連続系における生物や物質の動きを多角的に捉えることにより、これまでの既存研究組織では実現できなかった総合研究を行うことを指向している(柴田 2003)。本研究では、北海道北部に位置する天塩川流域をモデルサイトとし、陸域における人間活動が流域の生態系での物質循環や生物群集に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本稿では教官組織と技官組織の緊密な連携によって実行されている本プロジェクトにおける、これまでの取り組みと問題点、さらには今後の課題について報告する。

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