北方森林保全技術 = Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests;第23号

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大面積試験林における毎木位置測量について

吉田, 俊也;小宮, 圭示

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73124

Abstract

多くの長期モニタリングの成果が次第にまとめられつつあり、研究成果としてももちろん、研究林の運営管理にも応用されて役立つことが期待されている。このような際、既存の分厚いデータをより有効に活用するために、何らかの追加的な調査が必要になるケースは数多いと考えられる。この報告では、中川研究林の209林班にある「照査法試験林」をとりあげる。照査法試験林は、1966年に設定されて以来、約40年・110haという長期大面積調査が継続されてきた(大金1988、和1998)。全体は11の区画(1-10小林班および対照区)に分けられ、10年間隔で毎木調査とそれに基づく択伐が計画的に実施されている。毎木調査の対象となる胸高直径12.5cm以上の立木の本数は総計で4万本以上に達するが、そのうち大半の立木には金番が付けられ、個体(幹)ごとのデータ管理が行われていることが大きな特徴である。しかし既存の解析は、小林班単位での集計にとどまっていた。そこで以前から、毎木の位置測量を行なうことによって個体ごとの情報を強化し、積み重ねられた膨大なデータを最大限に活用することが考えられてきた。しかし、実際には、調査にかかる労力が大きすぎる等の問題があり、なかなか実行できないという経緯があった。2000年から、北管理部(当時北ステーション)が中心となる形で、各地方林の協力体制の下で調査を実行する新しい試みが始まった。最初の実行から5年を経て、調査の成果もまとまりつつある。そこでここでは、各林の協力による調査体制を報告するとともに、位置測量の方法・問題点、および成果の活用と今後の展開についてまとめることとした。

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