北方森林保全技術 = Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests;第30号

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照査法試験の現状と今後の展開

奥田, 篤志;中村, 誠宏

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73054

Abstract

照査法とは19世紀後半に、フランスのギュルノー、スイスのビオレイらによって提唱された森林の施業方法で、「森林の正確な観察に基づいて、持続的に最高の生産力を発揮できる状態に導く集約的な施業」と要約されている。具体的には、伐採する前に伐採の対象となる区域の毎木調査により前回の伐採後からの生長量や林分構造などを比較し、林分がどのように変化したかを把握したうえで生長量や林分構造から次の生長を予測して、生長量に見合った伐採計画を立てておこなう施業方法である。持続的な木材生産をおこなうとともに、施業により残された立木の成長が改善されることを期待し、より生産力の高い林分へ誘導しようというものである。中川研究林では1966年に、農学部森林経理学教室と中川演習林が共同で208~211林班の約116haを対象として、施業対象林分10個林班と1対照区からなる照査法試験林が設定された(図1)。1967年から毎年1林班ずつ、1~10林班で順次10年回帰で木材生産を繰り返している。照査法試験林では胸高直径が12.5cm以上の個体を調査対象とし、大半の個体は金番により個体番号を付して管理している。2000年から個体番号を付してある5~10林班および対照区内の全ての個体を位置測量し、個体単位での解析を可能にするべく作業を続けてきた。今年度で約67haの位置測量が終了し、施業研究のみならず様々な分野で利用可能な大規模研究プロットとしても注目が集まり、研究成果も挙がるようになってきた。この報告書では照査法試験林の2つの重要な役割である、「施業試験地」と「大規模研究プロット」について現状を紹介するとともに、今後の方向性についても考えていきたいと思っている。

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