北方森林保全技術 = Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests;第31号

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掻起し地に成立したカンバ林の除伐について : 天塩研究林の事例

実吉, 智香子;高橋, 廣行;小塚, 力;浪花, 愛子;坂井, 励;伊藤, 欣也;林業技能補佐員

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73047

Abstract

天塩研究林は1912年に発足して以来、約22,000haの広大な山林において、天然林を中心とした素材生産事業と伐採跡地や山火事跡地における植林事業を行ってきた(小塚ほか 2011)。これまで約2,300haの更新地が造成され、70年以上を経過した更新地は主伐や間伐の時期を迎えた一方で、天然林は未だ回復途中である。こうした状況から、山火事跡の約80年生の再生二次林のカンバ林も伐採対象とされるようになり、2011-2012年度は針葉樹人工林のタンタシャモナイ(生産材406m3)、再生二次林の冷水の沢(生産材295m3)・炭焼の沢(生産材263m3)・安斉の沢(生産材355m3)で素材生産が行われた。カンバ林はブルドーザーによる地拵え(以下、掻起し)によっても成立し、多くの掻起し地では高密度なカンバ林が形成されている。場所によっては有用材であるウダイカンバも更新しており、今後は有効な素材生産の対象になり得ると考えられる。良材生産を考えた場合、掻起し地に成立するカンバ林は立木密度が高いため、直径生長が良好ではないことから、除伐による保育作業が必要だと考えられる。しかし、そもそも掻起しは手をかけずに森林を再生させることが目的であることや、カンバ林は放置しておいても立木密度が適切に保たれると考えられていたことから、カンバ林の保育を目的とした密度管理方法は明らかにされていない。そこで、掻起し地に成立したカンバ林における密度管理の判断材料として、天塩研究林で行った除伐試験の結果と除伐の実施例について報告する。

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