子ども発達臨床研究 = The Annual Report of Research and Clinical Center for Child Development;第13号

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札幌市の子どもたちにおける「外国語」及び「総合的な学習」に関する実態分析

宋, 美蘭;水野, 君平;侯, 月江;濤岡, 優;加藤, 弘通

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73670
JaLCDOI : 10.14943/rcccd.13.11

Abstract

本稿は、「さっぽろ子ども・若者白書」をつくる会と北海道大学大学院教育学研究院子どもの発達臨床研究センターが共同プロジェクトとして、2017 年度に行っている札幌市の小学生及び中学生のアンケート調査のうち、子どもたちの「学び」に関する実態について、その一部を紹介するものである。本調査の分析ついては、すでに、加藤・水野(2018)の研究や太田・柳・加藤・水野(2016)がある。加藤・水野(2018)の研究では、子どもを取り巻く「学校、家庭」、そして「自己」について、子ども自身がそれらをどのように意識をし、捉えているのか、一人ひとりの子どもの実態や学年別の変化に着目し、明らかにしている。また、太田・柳・加藤・水野(2016)では、2016 年の札幌市の小学生(1060 人)・中学生(1860 人)の一般学級及び特別支援学級の大規模の調査から子どもたちの学校・家庭・生活・自己に関する実態を網羅している。 本稿は、以上の先行事例研究の連続性を持つものであるが、本稿では特に、第1に、子どもたちの「学校」及び「授業」の好感度について、第2に、「外国語、英語」について、そして第3に、「総合的な学習」の興味や関心について焦点を合わせ、これらを学校段階別と学年段階別に検討し、その実態を明らかにすることを目的とする。 これらの項目を検討する理由は、世界の教育の潮流のなかで、とりわけOECD のDeSeCo プロジェクトや21 世紀型スキル(ACT21s)では、グローバルな社会を生きるために必要な能力やスキルとして、外国語はますます重視されるようになり、また、変化の激しいこれからの社会では、他者と共同・協同しながら問題解決していくことが求められている。こうした世界の潮流に合わせて、日本の次期学習指導要領においても、社会の変化を見据えて身につけるべき能力や資質、また主体的に学ぶことを重視する方向性を示し、その中において小学校の外国語教育の教科化や総合的学習を従来以上に積極的に推進している。 日本の次期学習指導要領は2020 年度に小学校から本格実施される。2016 年8月に、中央教育審議会教育課程企画特別部会では、「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議」をまとめ、2016 年12 月に、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」答申を出している。 次期学習指導要領の目玉は21 世紀型学習を目指すものとして、「社会に開かれた教育課程」や新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目の新設やそのための目標や内容を見直している。これらの資質・能力の具体的な学びの姿として、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた「アクティブ・ラーニング(能動的学習)」の視点から学びを捉え直すことを狙いとしている。こうした3つの視点を踏まえた「アクティブ・ラーニング」を実施することで、「授業や学習の改善に向けた取り組みを活性化することができ」、「知識・技能を生きて働くものとして習得することを含め、育成すべき資質・能力を身につけるために必要学習過程の質的改善を実現する」ことを目指している。 以上の背景を踏まえて、本稿では札幌市の小学生及び中学生の子どもたちの「学校と授業」の好感度、そして「外国語、英語」の学習及び、「総合的な学習」に関する興味・関心の意識やその実態を明らかにする。

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