北海道歯学雑誌;第40巻 第2号

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口腔扁平上皮がん細胞におけるELAVL 2の発現

畑中, 知之;三河, 洋平;東野, 史裕;鄭, 漢忠;安田, 元昭

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/77555
KEYWORDS : 口腔扁平上皮がん;ELAVL 2

Abstract

一群の転写因子やサイトカインのmRNAの3’非翻訳領域(UTR)にはAU-rich element(ARE)と呼ばれる配列が存在し,これらのmRNA(ARE mRNA)の半減期は極端に短い.ELAVL1はARE mRNAを特異的に安定化させ,その細胞質局在が悪性腫瘍症例の予後と相関することが報告されている.今回,神経特異的に発現するとされるELAVL2に注目し,口腔扁平上皮がんの分化度との関連性を検討した.Real Time PCR法により,低分化型口腔扁平上皮がん細胞株SASのELAVL2 mRNA発現量は高分化型口腔扁平上皮がん細胞株HSC2に比較して圧倒的に高いことが示された.HSC2ではELAVL1が核局在性を示したが,SASでは細胞質への移行がみられた.免疫沈降法により細胞質中のELAVL1がELAVL2と結合していることが確認された.さらに,ELAVL2を強制発現したHSC2 ELAVL2では,ARE配列を有する遺伝子の発現亢進が認められ,中でも幹細胞性の制御に関わり3’UTRにAREを有するLin28BはELAVL2の強制発現により発現が上昇していた.ヌードマウスに移植したHSC2ELAVL2では,角化傾向の低い腫瘍胞巣が多数認められ,ELAVL2が口腔扁平上皮癌の分化に大きな役割を果たしている可能性が示唆された

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