經濟學研究 = The economic studies;第69巻第2号

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産出の人的資本弾力性を考慮した動学リカードモデルについて

友田, 康信;デービス, コーリン

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/77700
KEYWORDS : 産出の人的資本弾力性;動学リカードモデル;南北貿易;人的資本蓄積;所得格差

Abstract

本論文はSano and Tomoda (2019)を応用した2国2産業を持つ動学的リカードモデルを使って,南北貿易モデルにおける人的資本格差ならびに所得の格差を分析する。このモデルで中心となる概念は産出の人的資本弾力性であり,この人的資本弾力性により各国の比較優位が決定される。本論文は特に,一方の産業における産出の人的資本弾力性は1より小さいが,もう一方の産業における人的資本弾力性が1より大きい場合を,主たる分析対象とする。この場合,有限時間内に完全特化が実現し,途上国は(先進国は)人的資本の小さな(大きな)産業に特化する。人的資本弾力性が1より大きな産業に特化する先進国では,人的資本蓄積に伴い生産性が大きく改善するが,それは先進国の輸出財の価格低下をもたらす。この2つの効果がバランスして,永続的な南北間の所得格差を生み出す。

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