經濟學研究 = The economic studies;第69巻第2号

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戦略的地域統合 : 再考

倉田, 洋

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/77733
KEYWORDS : 戦略的地域統合;グローバル化;貿易費用;経済厚生;クールノー競争

Abstract

本稿は,グローバル化によって地域内の市場が他の国・地域の企業に開放されるような状況のもとで,地域外企業が市場への参入をあきらめるように地域内の貿易費用の引き下げを行う戦略的地域統合の可能性について考察するものである。地域統合を決める際,政府が地域内の企業利潤に焦点を当てているBjorvatn, Coniglio, and Kurata (2019)とは異なり,本稿では,地域内の企業利潤に加えて消費者余剰も含めた経済厚生に焦点を当てる政府を想定し,同じような戦略的地域統合が起こるかについて検討を行った。分析の結果,外部からの競争圧力が極端に高くも低くもない場合に,政府は戦略的地域統合の動機を持つことが示された。また,Bjorvatn, Coniglio, and Kurata (2019)の結果との比較から,統合前の貿易費用が小さい(大きい)場合には戦略的地域統合の可能性が小さく(大きく)なることが明らかになった。

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