經濟學研究 = The economic studies;第69巻第2号

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レントシーキングと不平等

佐野, 浩一郎

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/77767
KEYWORDS : Comparative advantage;Rent seeking;Inequality

Abstract

この研究では,不平等とレントシーキングのパターンの関係を検討する。2種類の財,奢侈品と必需品が存在し,個人の技能に異質性があるような経済を考える。奢侈品は技能集約的であり,かつ需要の所得弾力性が高く,必需品は技能非集約的でかつ需要の所得弾力性が低い。需要面において,豊かな個人ほど高い割合で奢侈品を購入し,貧しい個人ほど高い割合で必需品を購入する。供給面において,技能が高い個人は技能集約的な財の生産に特化し,技能が低い個人は技能非集約的な財の生産に特化する。さらに,個人はレントシーキングに携わることも出来るとする。つまり,生産を行なわずに他者の所得を収奪することが出来る。このとき,不平等度の違いによって,技能の高い個人がレントシーキングする場合もあれば,技能が低い個人がレントシーキングする場合もある。技能の高い個人がレントシーキングに携わるようになれば,経済発展への大きな障害となりうる。そのようなことが起こるのはどのような状況なのか分析する。

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