研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第19号

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芸術作品の認識的価値について

栗, 楨

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/79814
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.19.l51

Abstract

芸術と知識の関連性という問題は,それ自体興味深いだけでなく,それに対する結論次第で,芸術作品のもつ美的価値と道徳との関係から芸術作品に関する社会政策に至るまで,様々なトピックに大きな影響を与える。そして,これらのトピックに関する今後の研究を基礎づけるためにはまず,本稿で芸術と知識の関連に関する重要な議論を明確にする必要がある。 二つの中心問題に応じて,この研究は大きく二つの部分に分かれることになる。一つ目は,芸術作品が(トリビアルでない)知識を伝達できるかどうかという問題,言い換えれば,芸術作品の認識的価値が存在するかどうかという問題である。二つ目は,仮に一つ目の問題に対する答えが肯定的であるなら,芸術作品が伝達している知識あるいは作品がもっている認識的価値がその作品の美的な要素と関連をもつかどうかという問題,即ち,作品の認識的価値がさらにその作品の美的価値に影響を与えるかどうかという問題である。 本稿は主にBerys Gaut の著作に基づいており,その構成は,以上の一つ目の問題に対して肯定的に答える立場から始めて,次に他の哲学者からの反論を紹介し,問題の両面を検討するという形になっている。

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