北海道歯学雑誌;第41巻 第2号

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オーラルフレイル

渡邊, 裕;岡田, 和隆;近藤, 美弥子;中澤, 誠多朗;松下, 貴恵;山崎, 裕

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/80672

Abstract

これまでの歯科口腔保健における代表的な健康指標は現在歯数であった.しかし歯数自体は人の健康に直接影響することはない.実際に人の健康や生活に影響するのは,食事や会話であって,これに直接影響する摂食嚥下機能や構音機能である.これら機能に対する歯数の影響は極めて大きく,これまで歯数と全身の健康との関係は数多く報告されてきた1).しかし,歯数と健康に関するこれまでの研究は,全身の状態や生活習慣など歯を喪失する要因が健康に与える影響を十分除外できていない.また,歯を失った場合,再生することはできないため,歯数と健康との関連が明らかになっても,歯を喪失した人は口腔の健康を回復する術がなかった.そのため,これまでの歯科口腔保健の目的は歯の喪失予防が中心となっていた.近年の歯科医療の充実と技術の進歩は目覚ましく,歯を失う機会は大きく減少している.また歯を失ってもデンタルインプラントなどで補うことができるようになってきた.これらのことから今後,歯数が人の健康や生活に与える影響は低下してくると思われる.そのような中,フレイル,サルコペニア,要介護状態,死亡,認知症など健康寿命を損なう状態の発生と,口腔機能の低下との関連が数多く報告されるようになってきた2-4).これら加齢に伴う口腔機能の低下はオーラルフレイルと称され,世界的に注目が集まってきている

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