研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第20号

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日本語の名詞述語における複合動詞由来の転成名詞用法

中村, 真衣佳

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/80784
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.20.l91

Abstract

本稿では,現代日本語の名詞述語文において属性叙述に解釈されるものと事象叙述に解釈されるものが存在するのはなぜかという問いに対して,名詞述語文の述部が複合動詞由来の転成名詞である例を対象に分析・考察する。分析の観点は,複合動詞〈V1+V2〉におけるV1の自動詞・他動詞の区別,V2の活用の有無,本動詞・補助動詞の区別,そして,名詞述語文における主語標示と主題表示である。主な主張は,名詞述語文の意味には静態的意味と動態的意味があることである。静態的な意味には,恒常的属性,非恒常的属性,状態(「時間の経過で変化する状態」と「動作主の意志的な動作により変化する状態」)があること,動態的意味には中立叙述,過去・非過去における事象,習慣的事象があることを指摘する。また,複合動詞の構造と文の意味の関係は,複合動詞〈V1+V2〉のV2が補助動詞であるのか,本動詞であるのかによって異なることも合わせて指摘する。

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