研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第20号

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発話内力の獲得における推意の役割について : 可能形式を含む疑問文を例として

李, 娜

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/80791
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.20.l123

Abstract

本稿は,推意の概念を導入し,発話行為論における発話内力について議論したものである。特に,字義通りの意味と異なる命題内容に関わるいわゆる間接発話行為に着目した。日本語において,可能形式を含む疑問文も間接発話行為として扱われる場合がある。例えば,「許可」「依頼」「非難」「反語」のような用法がある。これらの用法を発動するには意味の伝達が必要である。つまり,1つの発話に1つ以上の意味がある。そこで,本稿は推意という概念を援用し,推意に関わる取り消しの難易度,慣習化,文脈への依存度などの要素から「許可」「依頼」「非難」「反語」を例として分析してきた。分析した結果,「許可」「依頼」は文脈への依存度が高く,取り消し可能性も高い一方,「非難」「反語」という解釈は文脈に依存するが,疑問文の影響ですでに慣習化が進んでおり,固着していることがわかった。

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