研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第23号

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王充の「意象」観

凌, 玲

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/91118
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.22.r17
KEYWORDS : 王充;『論衡』;意象;禮

Abstract

本論の目的は、『論衡』乱龍篇・遭虎篇・商蟲篇に見える土龍、虎、蟲の「意象」の特徴とそれらに付与された意味を解読した上で、王充の異なる「意象」に対する態度とその原因を分析し、さらに王充の「意象」観を明らかにすることである。従来の研究では、王充が、乱龍篇で初めて「意」と「象」を併用し、「意象」に「禮貴意象」(禮は意象を貴ぶ)といった定義をしたことを評価することがほとんどであった。しかし、王充は「意象」を判断する基準については十分に討論されたとは言い難い。本論はその点に着目し、王充は「意象」の判断基準として「禮」を用いており、また『論衡』の主旨である「疾虚妄」と関係があることを明らかにした。しかし、「禮」にこだわる王充は、虎・蟲という「意象」が持つ文学表現上の意義をあまり重要視していなかったことも同時に確認できた。このような王充の独特の「意象」観の由来と後世にどのような影響を与えたかについては、今後の課題としたい。

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