經濟學研究 = The economic studies;第57巻第1号

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マレーシアの日系企業と労働市場 -クアラルンプルの事例分析-

宮本, 謙介

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/25164
KEYWORDS : ブミプトラ政権;日系企業;内部労働市場;外国人労働者;日本的経営;生産システム

Abstract

小論は,2006年2月にマレーシア・クアラルンプル首都圏で実施した日系企業の労働市場に関する調査事例に基づいて, 同国首都圏日系企業の労働市場の特質,とりわけブミプトラ政策下のマレーシア人3民族の労働力編成,およびマレーシア人と外国人の労働格差の諸問題を検討課題とした。筆者は以前(2000年8月)にもクアラルンプル首都圏の日系企業労働市場の調査を実施しており,今回はその後の変化を追跡すべく,前回と同一の企業について再調査を試みている。 マレーシアではブミプトラ政策を長期にわたって開発戦略の核心に据えてきたが,労働市場に関するかぎり,マレーシア人3民族の就労格差が解消したとは言い難く,しかもそれ以上に重視すべきは,底辺労働を担う外国人労働者とマレーシア人との就労格差が一層顕在化し,労働市場が幾重にも階層化していることである。また日系企業の経営・生産システムは,同国の分節的労働市場に適応的な経営管理と雇用・生産方式を採用しており,労働力の序列化を一層増幅させる結果となっている。

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