經濟學研究 = The economic studies;第60巻第1号

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国際的二重課税排除の制度分析

小山, 光一;中西, 良之

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/43298
KEYWORDS : 外国税額控除;外国子会社配当益金不算入制度;税負担;資源配分の効率性;投資の収益率

Abstract

本論文では, 国際的な二重課税排除の制度を制度分析の観点から考察する。この制度を法律に則して数学的に定式化し, 制度に則した理論的枠組みを構築することによって, 制度の下で経済主体の合理的な行動がどのようなメカニズムを生じさせるかを分析する。本稿の構成は, 第一部と第二部の2つに分かれ, 第一部で基礎研究を行い, 第二部では現実問題の考察を行う。まず, 第一部では, 国際的な二重課税排除の諸制度の構造を数学的に示し, 企業の税負担, 資源配分の効率性, および投資の収益率の3つの問題について検討する。特に, 間接税額控除と国外所得免除方式(外国所得免除方式)の2つの制度について, 資源配分の効率性は同じであるが, 投資の収益率は国外所得免除方式の方が高くなることを示す。第二部では, 第一部の基礎研究を踏まえて, 2009年度の税制改正において間接税額控除の代わりに導入された外国子会社配当益金不算入制度について検討する。本稿では, この制度改正は資源配分の効率性を全く改善させないばかりでなく, 国内への投資の収益率をほんの僅かしか高めないので, 本質的な解決にならないことを示す。抜本的な改革として, 日本の法人税率を引き下げる必要があることを主張する。

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