幸田文のエッセーにおける「食」
ファルトゥシナヤ, エカテリーナ
Permalink : http://hdl.handle.net/2115/47875
Abstract
本稿では,幸田文のエッセーにおける「食」の描かれ方を分析する。父幸田露伴に料理を含む家事の手ほどきを受け,長く彼に食事を供し続けた幸田文は,料理や台所など,「食」について非常に多くを書いた。それは単なる生活の断片的エピソードではなく,彼女と家族の関わり,彼女自身の記憶や内面を映し出す役割を持っていた。台所は彼女にとって,「女の心の業をこなす場所」であり,「教室」であり,さらには五感を鋭敏にしてくれる独特なトポスであった。五感の中でも,特に台所の「音」に関する鋭敏さに,この作家の独自性が表れている。
FULL TEXT:PDF