低温科学 = Low Temperature Science;第70巻

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尾瀬の彩雪の分布と積雪環境

野原, 精一;福原, 晴夫;山本, 鎔子;落合, 正宏;大高, 明史;宇多川, 広勝

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/49000
KEYWORDS : アカシボ;尾瀬ヶ原;尾瀬沼;赤雪;積雪;湿原;Akashibo;Ozegahara Mire;Lake Ozenuma;red snow;snow cover;wetland

Abstract

尾瀬ヶ原と尾瀬沼における赤雪(アカシボ)の分布を航空写真の解析から明らかにした. 2000年5月25日時点での積雪はアカシボの生じる見本園中央部で30cm, 周辺で100cmであった. 積雪底のpHは5~7であり中央部で中性に近かったが, 積雪コアの融解水のpHは何処も5付近であった. SSは最大で200g m-2, アカシボSSの量子収率は著しく低く, 藻類はアカシボ初期には少ないと思われる. アカシボにはDOCも多い傾向にあり最大で400mgC m-2であった. 同じくNaイオン(600mg m-2)もアカシボ発生付近で高くなっていた. 雪の酸素同位体比(δ18O)は周辺部分(-12‰)よりアカシボの中心で重くなっており(-10‰), 周辺部の雪解け水が一度泥炭層に潜り込み, 間隙水・地下水が上昇してきたと考えられる. 本研究の現地調査と分析結果から積雪1m程度になると湿原周囲の雪解け水が地下からわき上がり, 細かく分解された泥炭の一部や鉄が一時的に噴出して広がり酸化され, その後日射で周囲より早く解け窪地ができるものと思われる. その後, 藻類や底生生物の増殖・集合を伴いながら雪が解けて行くものと思われる.

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