AIRwayプロジェクト

リンクリゾルバを通じた機関資源へのアクセス

平成19年3月19日

AIRwayプロジェクトがリンキングサービスと機関リポジトリを結びつける

原文(OCLC Abstracts, Vol.10, No.11, 2007)

日本及び米国の図書館員、技術者により、機関リポジトリとリンキングサービスを結びつける新たな仕組みが開発された。学術情報へのアクセスに変革をもたらす可能性を秘めた同技術の内容については、D-Lib Magazineの3/4号の記事の中でも報告されているが、学術雑誌上の引用文献情報や文献データベース内の情報をもとに、図書館利用者が著者所属機関にアーカイブされた研究論文へとアクセスできるようにするというものである。

世界中の研究図書館は、ここ数年来、所属研究者の著した文献を「機関リポジトリ」で利用可能とすることにより、それらの文献へのアクセスを増進する取り組みを続けてきた。しかしこれら機関リポジトリは期待に見合うほどは利用されていない。その要因として、ひとつには、これら局地的システムは、研究者が日常的に使う電子ジャーナルやデータベースとシームレスに利用できるようになっていないということが挙げられるだろう。

この状況を改善するため、北海道大学、九州大学をはじめとした日本の図書館員グループがAIRwayプロジェクトを創始した。AIRwayチームは、機関リポジトリのシステムを、NISO(米国情報標準化機構)により制定された標準技術であるOpenURLに対応させるという方法をとった。リンクリゾルバ技術の開発元のひとつである、OCLC Openly Informatics部門による技術サポートを得て、AIRwayチームは、厳密に同定された機関リポジトリ上のコンテンツ情報を、動的に、リンクリゾルバの出力する全文アクセス先リストに組み入れることに成功した。

「研究者は、所属機関が電子ジャーナルを機関購読していない場合にも、リンクリゾルバを通じて容易にオープンアクセス文献にたどりつけるようになるだろう」と、D-Lib Magazineの記事の筆頭著者である杉田茂樹氏(北海道大学附属図書館)は述べている。

「"If you build it, they will come"との啓示を受けた『フィールド・オブ・ドリームズ』の主人公のように、機関リポジトリを設立すれば文献提供者や文献利用者にこぞって活用されるものと夢見て、これまで多くの図書館が取り組みを進めてきた。AIRwayプロジェクトは、そのひと匙の魔法で、これら機関リポジトリの前進を助けるだろう」と、AIRwayプロジェクトと協働関係にあるOCLC Openly Informatics部門の責任者であるエリック・ヘルマン氏は述べる。「われわれはAIRwayの技術が可能な限り広く受け入れられ普及することを願っている」

AIRwayの解説記事はD-Lib Magazineのウェブサイトで無料で閲覧可能である。

AIRwayプロジェクトは国立情報学研究所(日本)による研究開発プログラム「次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業」の援助をうけてすすめられている。AIRwayプロジェクトについて、詳しくは同プロジェクトのウェブサイト、または、airway@lib.hokudai.ac.jpに照会のこと。

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