アイヌ・先住民研究 Aynu Teetawanoankur Kanpinuye = Journal of Ainu and Indigenous Studies - 第3号

Reconstruction of “parent” and “grandparent” in Atayalic languages

Ochiai, Izumi

Permalink :  http://hdl.handle.net/2115/88300
JaLCDOI :  10.14943/Jais.3.063
KEYWORDS : Atayal; Seediq; Parent; Grandparent; Reconstruction; アタヤル語; セデック語; オヤ; オヤのオヤ; 再建

Abstract

オーストロネシア語族のアタヤル語群(アタヤル語とセデック語)において、「父」「母」「祖父」「祖母」を表す語を分析し、アタヤル語群祖語における形式を再建する。アタヤル語とセデック語の「父」の形式abaとtamaを比較しても、「母」の形式ayaとbubuを比較しても、アタヤル語群祖語が再建できないが、オーストロネシア祖語に*ayaという形式があり「親」と再建されうる。そのためアタヤル語のaya「母」が古形を保有しており、「親」から「母」へ意味が変わった。その他は改新によるものである。また、アタヤル語とセデック語の「祖父」の形式utasとbakiを比較しても、「祖母」の形式akiとpaiを比較しても、アタヤル語群祖語が再建できないが、オーストロネシア祖語に*akiという形式があり「親の親」と再建されうる。そのためアタヤル語のaki 「祖母」が古形を保有しており、「親の親」から「祖母」へ意味が変わった。その他は改新によるものである。アタヤル語群祖語並びにオーストロネシア祖語に再建されたのは*aya「親」と*aki「親の親」であり、性別を区別しない。また、これらの再建の過程で、オーストロネシア祖語の「父」と「母」とされてきた*amaと*inaを「婿」と「嫁」に修正した。


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