アイヌ・先住民研究 Aynu Teetawanoankur Kanpinuye = Journal of Ainu and Indigenous Studies - 第4号

民族の自己決定権による遺骨返還運動 : 琉球の脱植民地化を目指して

松島, 泰勝

Permalink :  http://hdl.handle.net/2115/91331
JaLCDOI :  10.14943/Jais.4.241
KEYWORDS : 民族の自己決定権; 琉球の脱植民地化; 琉球民族遺骨返還請求訴訟; 先住民族の権利; 研究者による墓荒らし

Abstract

人類学者は、他者の文化を暴き、モノを盗み、植民地支配のための学術的正当化をおこなう植民地主義者という側面をもつ。人類学研究は、琉球民族が今も苦しんでいる、植民地主義問題の解決、琉球民族の権利や尊厳の向上、主権回復にどれほど貢献したのか。琉球は「知的好奇心」や「研究業績」のための収奪の場所でしかなかったのではないか。琉球民族遺骨返還請求訴訟は、日本の法廷において初めて、京都大学に対して琉球民族の遺骨返還を求め、琉球に対する日本の植民地支配の歴史を批判し、国際法に基づいて先住民族が有する遺骨返還権を主張した。先住民族遺骨の返還は世界的な潮流となっている。しかし、この問題に対して日本の学知は「鎖国」的な対応をとり、研究者の特権を振りかざし、みずからの帝国主義を清算しようとしない。琉球民族の遺骨、厨子甕、副葬品等の返還は、琉球の脱植民地化、脱帝国主義化のための、「民族の自己決定権」の行使である。


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