北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第105号

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貧困世帯の教育費調達におけるマイクロクレジットの役割と課題 : スリランカのサムルディ計画の調査を中心に

山田, 千春

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/33937
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.105.91
KEYWORDS : スリランカ;サムルディ計画;マイクロクレジット;貧困層の教育費

Abstract

スリランカは,基礎教育が普及しているが,それ以上の教育を受けるには,厳しい進学試験に合格しなければならない。当然,学習塾に重点が置かれるようにより,教育費の家族負担 は大きい。サムルディ計画は,貧困層を対象とした救済策であり,生活費の補助とマイクロクレジットを通した小規模事業の支援を実施している。今回の調査は,サムルディ計画のマイクロクレジットによる収入が,貧困世帯の子どもの教育費にどのように利用されているのか,を明らかにするために行った。調査の結果,事業を行っている世帯では,多くの世帯がそれで得た収入を子どもの教育費に利用していた。しかし,非受給世帯との格差を埋めることはできず,ある程度まとまった教育費として調達できるようになるには,3~4回融資を利用しなければならない。さらに,マイクロクレジットにアクセスできない世帯に対しての教育費の支援策も今後,必要であることが明らかとなった。

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