北海道歯学雑誌;第32巻 第1号

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歯科用高出力レーザーの透過率に関する研究

石井, 教生;佐藤, 嘉晃;飯田, 順一郎

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/47229
KEYWORDS : 歯科用高出力レーザー;人工真皮;透過率

Abstract

これまでに組織の修復や治療に対して低出力レーザーを用いて効果をみた報告は多数見られる.一方,1990年以降,組織深部までレーザー光が到達する能力を持つ高出力レーザーについての報告も散見される.歯周組織深部にある歯根膜や歯槽骨で生じるリモデリングなどの変化に対して好影響を与える事を目的とするレーザ一光の使用では,皮膚粘膜表面に悪影響を与えずに深部に到達する効果が求められる.今回,歯科用高出力レーザー光が与える組織表面性状の変化および透過率を調べる事を目的として実験を行った. 材料・方法 コラーゲン製人工真皮(テルダーミス)を資料にし,半導体レーザー, Nd-YAGレーザー,Er-YAGレーザーおよび炭酸ガスレーザーの歯科用高出力レーザー発生装置を用いて下記の検討を行った. 1.照射による表面性状変化の有無の臨界値の測定 2.各種レーザーの人工真皮透過率測定 3.半導体レーザーについての検討 1)レーザー照射器先端と検知面の距離によるレーザー強度の変化に関する検討 2)レーザー照射器先端と人工真皮の距離による透過率の差異に関する検討. 結果と考察 1.Er-YAGレーザと炭酸ガスレーザーの両者は照射により表面性状が変化しやすいが,半導体レーザーおよびNd-YAGレーザーにおいては近距離で照射した場合においても表面性状は変化しにくかった.これは組織での吸収が少なく発熱等による影響が少ない為と考えられた. 2.透過率は高い順番に半導体レーザー24%,Nd-YAGレーザー18%,炭酸ガスレーザー2.5%,Er-YAGレーザー2.4%,の順であった.これより半導体レーザーが表面に影響を与えず内部に透過する点において最有用であると考える. 3.(1)距離による減弱は連続波とパルス波の両者において10mmでは4~5%,70mmでは81%であった. (2)透過率については,距離の条件によらず,23~26%であった.

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