北海道歯学雑誌;第32巻 第2号

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在宅自立高齢者における口腔カンジダ菌の保菌状態に関する調査

後藤, 隼;山崎, 裕;佐藤, 淳;秦, 浩信;大内, 学;守屋, 信吾;北川, 善政

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/48715
KEYWORDS : Candida albicans;Candida glabrata;高齢者;有床義歯;口腔乾燥

Abstract

口腔カンジダ症はCandida albicansをはじめとするカンジダ菌の増殖による日和見感染症である.口腔カンジダ菌の保菌状態に関連する因子として,加齢,義歯,口腔乾燥,服用薬剤,糖尿病などが指摘されている.口腔カンジダ菌の保菌状態に関する従来の報告は,被験者数が少なく,対象年齢が広範すぎたり,また検討された因子が一部の関連因子に関するものが大部分であった.そこで本研究では65歳~74歳の前期高齢者のみを対象とし,口腔カンジダ菌の保菌率と,それに関連するさまざまな因子を検討した.余市町の在宅自立高齢者に対して2009年12月に実施した口腔健康調査の際に,口腔カンジダ菌の培養検査を施行し,診査時に口腔カンジダ症が疑われる所見を認めなかった382人を対象とした.被験者に対しては,事前に全身と口腔の健康に関する質問票を送付して記入してもらい,調査当日に持参させた.調査会場では歯や歯周組織の状態,欠損補綴物の種類,口腔清掃状態,口腔乾燥の有無などを診査した.カンジダ菌は舌背から採取した検体をクロモアガー培地で培養した.カンジダ菌検出の有無による2群間でアンケート調査と口腔内診査の結果を検討した.また,欠損補綴物ごとにカンジダ菌種を比較した.被験者全体の口腔カンジダ菌の検出率は64%,有床義歯使用者では74%だった.検出されたカンジダ菌の内訳は,C.albicansが56%,C.glabrataが31%だった.全身と口腔に関するさまざまな因子を検討したところ,検出率と有意に関連していたのは,年齢と客観的口腔乾燥の有無,有床義歯の有無の3つであった.欠損補綴物別の検出率は欠損補綴物なしが44%,橋義歯が51%,部分床義歯が71%,全部床義歯が79%で,有床義歯使用者では非使用者に比べ有意に検出率が高く,C.albicans+C.glabrataの混合菌種の割合が高くなった.単変量解析で有意差が認められた3項目に関して多変量解析を行ったところ,年齢(オッズ比1.7)と有床義歯の有無(オッズ比3.0)がカンジダ菌の検出に有意に関連する独立因子であった.本研究の結果から,健常な前期高齢者において有床義歯は,カンジダ菌の保菌と最も関連した因子であり,カンジダ菌叢の変化が認められた.

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