北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第117号

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教育実践における教師の思考に関する研究の展望 ; 教師の気づき (アウェアネス) に焦点をあてて

佐々木, 佳子

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/51030
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.117.131
KEYWORDS : 教師の思考;活動過程における省察;気づき (アウェアネス);暗黙知

Abstract

 これまでの教師の思考に関する研究では,主に授業場面の教師の思考活動に焦点が当てられ,実践的知識や熟達化との関係が明らかにされてきた。だが,教師の思考そのものについては暗黙とされることが多く,実践場面での教師の思考がどのような内容で,どのような構造なのかは実際のところよくわかっていない。本稿では,教育実践における教師の思考に関する国内の研究をその内容と構造の視点から概観し,教育実践における教師の思考について論じた。教育実践における教師の思考を,授業場面,学級をめぐる実践場面,実践記録に分類,整理したところ,授業構想とのズレや予想外応答への気づき,意図的視点による問題状況への気づきがあることがわかった。教師の気づきは実践の中だけでなく,実践についての省察の過程においても再構成されることがわかった。また,気づきの機序については,暗黙知(ポラニー.M)との関連が示唆された。

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