研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第12号

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Research on the Verb-particle constructions : Hunt up and Hunt down

田部, 千絵子

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/51965
KEYWORDS : Verb-particle;constructions;Hunt up;Hunt down

Abstract

一般的にupとdownは反対の意味を持つとされ,日常会話でも頻繁に用 いられている。しかしLindner(1982)は,upとdownは純粋な反対語であ るという認識では不十分で,それぞれが多義的であり,句動詞内での意味に よって反対語になる場合もあれば,まったく関係のない意味になる場合もあ るということを指摘した。その考えに従い,Lindnerはhunt upとhunt down を以下のように分析している。 hunt upとhunt downでは,huntは同じ意味,すなわち獲物を見つけると いう狩りを示しているが,upとdownが異なる意味をコード化しているた め,意味が異なっている。それらは反対の意味を持たず,それぞれの統合的 な概念から特定の意味が生じている。すなわち,upは標的が視界に入ったこ とを示すのに対し,downは捕えられた獲物の身体的位置をコード化してい る。 このLindner(1982)の分析に関し,本稿では以下の2点について議論した い。 Q1:hunt upとhunt downの意味における違いは,upとdownの意味の違 いだけから生じているのか。動詞huntの意味は同一だと言えるのか。 Q2:hunt upとhunt downはそれぞれメタファーを持つのか。 以上の2点に関して,コーパス(COCA)を用いた調査から,以下の結果・ 考察が得られた。 A1:句動詞hunt upとhunt downにおいてhuntの意味は同一ではなく, findingとcapturingというように,huntingの過程の中で焦点を当てて いる部分が異なることが分かった。そのようなhuntの意味の違いと, up(視界に入ってくる)とdown(身体的位置の変化)の意味の違いが 足し合わされることで,hunt upとhunt downの意味の違いが生じてい る。 A2:動物以外の目的語をとるケースが多くみられた。また,物理的な上下の 関係だけでなく,視界や支配への意味拡張も見られたことから,動詞 (hunt)と,不変化詞(up,down)のそれぞれがメタファー的な意味拡 張を経て使用されていることがわかった。 本稿では,句動詞hunt up,hunt downに関する考察を以上のように議論し ていく。

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