北海道歯学雑誌;第33巻 第2号

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電気的根管長測定器を応用した垂直歯根破折面の超音波切削が間隙封鎖性向上に及ぼす効果

川端, 伸也;菅谷, 勉;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/52444
KEYWORDS : 垂直歯根破折;口腔内接着法;インピーダンス;封鎖性

Abstract

垂直破折歯根を接着する治療法は,破折間隙の細菌を除去して接着,封鎖することが基本である.本研究の目的は,超音波チップと歯根表面とのインピーダンスを計測しながら破折線を根管内から切削することで,接着後の封鎖性が向上するかを,抜去歯を用いて検討することである.ヒト抜去歯を歯軸方向に破折させて元の位置に復位し,超音波スケーラーにUファイルを接続して破折線を根管側から歯根表面に向って1箇所のみを切削,Uファイルと歯根表面とのインピーダンスを8000Hzと400Hzの2つの周波数で計測するとともに,ファイル先端と歯根表面との距離を計測した.次にヒト抜去歯を垂直破折させ,元の形態に整復,破折線の一方を切削群,もう一方を非切削群とした.切削群は超音波エンドファイルを用いて歯根表面とのインピーダンスを計測しながら.ルートZXの指示値で0.5または1.0の位置まで破折線全体を切削した.非切削群の破折線は切削しなかった.両群ともポストをスーパーボンドで接着して破折間隙を封鎖,色素侵入試験を行った.ファイルの位置と歯根表面とのインピーダンス値の計測結果から,破折間隙が300μm以下であれば,インピーダンス値の比が0.88(ルートZXの指示値1.0)まではファイルが歯根表面に突き出すことはなく,インピーダンス値が0.81(ルートZXの指示値1.0)まででは15.4%が突き出していた.超音波ファイルで破折線を切削して接着した場合の切削群と非切削群の色素侵入距離は,ルートZXの指示値0.5までの場合が182.6±98.1μmと627.4±264.1μm,1.0までの場合が220.6±146.8μmと547.3±235.4μmで,いずれも切削群が有意(p<0.01)に小さかった.本研究により,インピーダンスを測定しながら破折間隙を切削することは,過剰な切削を避けながら封鎖性を高めるのに有効と考えられた.

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